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こころの問題とは

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精神分析とは

「精神分析」についてのイメージはさまざまですが、よくある質問=「精神を分析するんですよね」からわかるように、どうやら精神分析を特殊なものと捉え、警戒心を感じられる方が多いようです。フロイトが初めて「性」をまともに取り上げたことも、いまだに精神分析のイメージを特殊なものと感じさせる要因となっているのかもしれません。

精神分析は「神経症」の治療を行っていく中で見出されていった「心に関する理論」「技法」ですが、「心理学」を「こころ」として初めて科学的に探求した学問です。人間が過去の影響の中で今を生きていることや、こころの無意識の領域がその人の行動に強い影響を及ぼしていることをあきらかにし、現代心理学に大いに貢献しました。たとえば「子ども時代は、厳しい父親に育てられ欲求不満を感じていた。にも関わらず、その経験から父親とは厳しいものという考え方が根づき、自分の子どもを頭ごなしに叱りつけるように育てた」の表現は、現代では自然に受け入れらるでしょう。この表現に含まれる「過去の経験が現在の人間関係に影響を及ぼしている」ことや、「無意識的に父親との関係を反復していた」という考え方は、精神分析がもたらした知見です。

当初は精神疾患の治療として始まった精神分析ですが、戦後には乳幼児研究も統合されていき、今では対人関係・心のメカニズム・発達理論を含む、深くて広い学際的な「心に関する理論」に発展しました。「精神分析」というと特殊な学問のように思われがちですが、発達心理学のテキストには、精神分析から見出された用語があふれています。「情動調律」「愛着」「社会的参照」などなど。また「認知行動療法」は、精神分析と対比され、まったく異なるもののように語られますが、認知行動療法における「中核的信念」は、精神分析によって見出された「幼児期の体験」や「無意識の影響」という考え方を当然のごとく援用しています。精神分析は特殊な学問ではなく、人間の心を理解するための理論・技法であることを皆さんに知っていただきたいと思います。