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女性の心の問題

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こころの問題が生じるとき

女性にこころの問題が生じるときとは、どんなときでしょう。
女性のライフサイクルにおいて、危機(成長の契機)となる出来事について書いてみました。

異性とのつきあいをめぐって

異性とのつきあいを巡って、急速に不安定になる女性がいます。「彼が他の女性に関心を向けるのではないか」「自分のことを嫌っているのではないか」。不安に駆られて彼に愛情を何度も確認し、行動を束縛しますが、彼女の不安は消えません。逆に、彼は彼女の行動が負担になり、二人の関係は難しくなっていきます。彼女は不安の原因は彼にあると信じ、「私を愛しているのなら、困っているときに会いに来てくれるはず」「どうして来てくれないの」と彼の不信をなじります。

彼女は「愛や信頼が欠けている」と感じているようですが、完全な信頼や完全な愛情など存在するのでしょうか。彼・彼女が大切でも、嫌いだと思うことはありますし、他の友人とのつきあいに時間を割きたいときもあるはずです。
異性との初めての交際は、子ども時代の満たされなかった依存心や大切な人を喪失する不安をかきたてます。相手に完全さを求めるのは、それに怯えているからかもしれません。あなたの心の中を覗いてみてください。あなたは彼に出会う前から、依存すること・見捨てられることへの不安があったのではないでしょうか。とすれば、それは過去のどんな経験からできあがっている不安なのでしょう。
ご自身の不安がどこから来ているのかがわかったとき、過去から解放されて、現実の彼を客観視できるようになるでしょう。ありのままの彼とあなたとの間で、お互いに限りある人間として関係を育むことができれば、本当のところで相手を愛することができるようになるのだと思います。

結婚後の親族とのつきあいを巡って

結婚は、これまでの独身人生とは異なる課題を女性たちにつきつけます。そのひとつが、親族とのつきあいです。

「嫌いな人とはつきあわない」が、大人になると通用しなくなります。学生時代も、教室やサークルで、苦手な人とつきあうことはあったでしょう。それでも、嫌いな人とはつきあわずに済ませますし、関係を断つこともできました。しかし、夫の親族とは容易に関係を断つことができません。

嫁という立場のために、夫の親から理不尽な仕打ちを受け、それに耐えているうちに心身症・うつになった・・という女性がみえます。「理不尽な仕打ちをした夫の親」が問題ですが、理不尽な仕打ちや運命に対して、人のせい、人任せにしても何も解決はしません。この問題とどう向き合い、いかに生きるのかを、あなたが決めていくことが大切です。

嫌いな人とどうつきあっていくのか。試練は、あなたの人間関係をより深め、あなたを魅力的な人間に磨いてくれることと思います。

母親となること

母親になり、子育てをしていくと、ご自身の親との関係を振り返らざるを得なくなります。

子どもを生むまでは、母親との関係にまったく不満も不安もなかった方もみえます。一方、母親との関係が険悪だったことから母親となる不安を自覚されている方もあります。また虐待を受けられた方が、ご自身も親と同じ虐待を行うという形で、ご自身の子ども時代を表現していることもあります。
私たちは親となったとき、子どもとの関わりの中で、意識的、無意識的にご自身の子ども時代を振り返るようです。ご自身の子ども時代につらい思いをした方は、再びそのつらさが蘇ります。一方、つらさを自覚していなかった方も、振り返る作業を通して、さみしさやつらさ、怒りや不安を思い出します。そのような気持ちがサポートされるときには、ご自身の子ども時代の未解決な問題に取り組む機会となります。
「育児は育自」といいますが、子育ては親として育てられることだけでなく、ご自身の心の中の「子ども」をもう一度育む機会となるのだと感じます。