女性臨床心理士が主宰する岐阜市のカウンセリングルームです。職場ストレス・子育て・不登校・発達障害など、心の問題や悩みにお応えします。

コラム

医療とつながる

2012-09-02

当室の考え方

発達の凸凹(得意と不得意)によって、社会性や生活能力などを身に付ける過程に大きな影響を受けている子どもたちがいます。彼らを社会に適応できる大人に育てていくためには、医療がとても重要な役割を果たします。(M記)
医療の役割

医療の場では、子どもの持つ凸凹を明確にするための検査や生育歴(育ち方の特徴)などから、その子どもがどんな特徴を持った子かという「診断」を行ないます。
困っている問題行動や状態像によっては、精神的安定や生活を整えるためにお薬を処方することもあります。
子どもの特徴にあった訓練を設定し、療育機関などに紹介状を書いてくれたりもします。
また保護者の方に精神的サポートや助言もしてくれます。
診断のメリット

発達障害であるという診断を受けることができると、保育園などで加配を付けるといった支援を受けやすくなったり、支援の仕方が定まってきたり、障害者手帳などの交付により公的支援(障害者職業センターでの職業訓練など)を受けられたりといったメリットがあります。

しかし逆に診断がついたことで「発達障害だからできなくても仕方がない」と放置してしまうと、成長できる芽を摘んでしまう結果に陥ることもあります。

誤解されやすい点

また、お薬が処方されると、それを飲むことで問題行動が消失したかのように感じられ、「薬を飲ませていれば大丈夫」と思われる保護者の方もいます。

お薬を処方する本来の目的は、一時的に問題行動を抑え込むことではなく、「子どもをひどい精神的混乱や被害的な考えに陥らせない」「基本的な生活習慣や親からのしつけが子どもに伝わりやすい状態を作る」ことにあります。

つまりお薬を飲んで安定した状態を保ちつつ、子どもへの働きかけ(しつけや学習・愛着形成など)を行なっていく必要があるのです。

医療との連携が大事

子どもに良い環境を与え、特別な体験をさせていこうと思っても、それを受け入れられるように子どもの状態が整っていないと、身に付いていきません。発達の凸凹のある子どもの心身のコンディションを整えていくためには、医療との連携が重要だと思われます。

臨床心理士にとっても、発達の凸凹のある子どもや保護者にとっても、医療は手を取り合って進んでいく、大切な仲間なのです。