女性臨床心理士が主宰する岐阜市のカウンセリングルームです。職場ストレス・子育て・不登校・発達障害など、心の問題や悩みにお応えします。

コラム

社会の中で生きる

2012-09-09

当室の考え方

臨床心理士として発達の凸凹(得意と不得意)のある子どもに出会った時、「この子が社会の中で生きていける大人へと成長するためには、今、何をするべきだろうか」と考えます。(M記)
子どもの未来

家庭という小さな社会で生まれた小さな子どもは、幼稚園へ行き、小学校へ行き、中学・高校と、次第に大きな集団の中で生きていくようになります。そしていつかこの大きな社会の一員となっていきます。
私たち大人は、そうした子どもの未来を考え、子どもを育てていく必要があるのです。
『今』は『未来』に続いている

小学校低学年で、授業中にフラフラと歩き回ってしまう子どもをどうしたらいいだろうか?と悩まれる保護者の方や先生方がいます。
その対応は子どもが歩き回る理由によって異なりますが、忘れてはいけないのは、この子どもに『今』何をするかによって、高学年になった時、中学・高校になった時の子どもの姿が変わってくるということです。
私たちは5年度・10年後の子どもの姿を想定して、『今』すべきことをしていかなくてはならないのです。
メッセージを読み解く

『今』歩き回らなくなれば、他人に迷惑をかけなくなれば、それでいいのでしょうか?
さまざまな子どもがいますが、歩き回るなどの行動は子どもからのSOSである場合が多いように感じます。
それは「ぼくの凸凹に気づいてよ」というメッセージだったり、「わたしはここにいるのがつらいの」というSOSだったりします。
こうした子どもの行動を抑え込もうとするのではなく、私たち大人は、そのメッセージを読み解く必要があります。それによって子どもとの対話が可能になり、適切な方法を選択し支援を提供することができるのです。
社会とつながるための仕事

最終目標は、社会的な自立です。親がいつまでも健康で、子どもの面倒を見てあげられるわけではありません。障害によって形は変わりますが、生活を自分なりに営め、自分が必要とされる仕事につき、人とのつながりの中で生きる。そのために、20年前後の期間で何を準備できるのかが大切なのです。
子どもが成長していく中で、環境も様々に変化します。変化に弱い凸凹のある子どもは、それに適応していくだけで1年があっという間に過ぎてしまいます。
だからこそ、目先の問題だけでなく5年後10年後20年後を見据えて、『今』のことを考えてくれる大人が、彼らには必要なのだと思います。