女性臨床心理士が主宰する岐阜市のカウンセリングルームです。職場ストレス・子育て・不登校・発達障害など、心の問題や悩みにお応えします。

コラム

学び取る力

2012-09-26

当室の考え方

発達の凸凹(得意と不得意)がある子どもと定型発達の子どもでは、同じ出来事に遭遇しても、そこから学び取るものが大きく違ってきます。(M記)
学べない状況に陥る

定型発達の子どもが、恐る恐るでも親の支えを受けながら新しい体験を積み重ねていくのに対して、発達の凸凹のある子どもは、新規の場面で極端に不安が高まり、フリーズやパニックを起こすことがあります。
不安の強さにより体験の幅は極端に制限され、本来学ぶべきことが学べない状況に陥ります。
誤った学習

親や先生に注意された時、発達の凸凹のある子どもの中には「怒られた」ことしか頭に残らず、「なぜ叱られたのか」「今後はどうすればいいのか」といった重要な部分が抜け落ちることがあります。その場は迫力に押されて「ごめんなさい」と謝るけれど、すぐにまた同じことを繰り返します。本来学ばなければならないことが学べず、「怒られたら謝る」→「そうすれば怒られない」という表面的な解決方法を誤って学習するのです。
学んだことを修正する

こうして誤って学習したことを、他の体験から修正していく力が弱い傾向も、発達の凸凹のある子どもにはよく見られます。こうして、悪循環を繰り返し、そこから抜け出すことが難しくなります。子どもに悪気はなく、その状況に陥っているだけなので「ここで、お母さんは〇〇して欲しかったんだよ」「△△の時は、今度から☐☐しようね」と説明されると、すんなりと納得できます。誤学習を修正するためには、「落ち着ける環境で、感情的にならず、重要なことだけ簡潔に、書いて残す」といった工夫が必要です。
極端な不安のために学べずにいる子どもであれば、医師に相談してみるとよいでしょう。不安や過敏さを軽減する薬物治療や、認知行動療法を利用した不安への対策を立てていくことも効果的かもしれません。
大切なことは、「不安でできない」子どもの気持ちを否定せず、どうしたらできるか、何が怖いのかといった子どもの特性を1つ1つ明確にしていくことです。
弱い部分を理解し、発達の凸凹のある子どもが本来持っている学び取る力を十分に発揮できるよう、子どもの心身や環境を整え、体験から学び取るべき重要なことに注目し、気づかせてあげましょう。それが大人の役割であり、臨床心理士がお手伝いできることだと思います。