女性臨床心理士が主宰する岐阜市のカウンセリングルームです。職場ストレス・子育て・不登校・発達障害など、心の問題や悩みにお応えします。

コラム

環境を調整する

2012-11-26

当室の考え方

発達の凸凹(得意と不得意)のある子どもたちを、どのように育てたらいいのでしょう。(M記)

育て方はみんな違う
子どもの成長に環境が重要な役割を果たすことは明白です。
特に発達の凸凹のある子どもにとっては、環境の善し悪しによって思春期・青年期以降の社会適応が大きく異なってきます。
それでは「良い環境」とは何でしょうか?
例えば植物でも、肥料や水を潤沢に与えて温室に置いておけば、良く成長するわけではありません。その植物にはその植物に合った管理方法があり、肥料や水のやり過ぎは、むしろ根を腐らせる結果となります。
子どもにとっての環境も同じです。その子をどんな風に育てたらよいか。「良い環境」とは、それぞれみんな違うのです。
特徴を知ることの大切さ

特に発達の凸凹のある子どもは、どんな特徴があるかをきちんと見極めることが大切です。
日陰の好きな植物を毎日日向に置いていたら枯れてしまうかもしれません。
それと同じで、発達の凸凹に合った適切な関わり方・育て方を私たち大人が知り、環境を整えてあげる必要があるのです。
環境を調整する

発達の凸凹によって、知的には問題ないのに字を書くことが難しく、宿題をこなせない子どもがいるとします。その子にとって「良い環境」とは何でしょう?
宿題をやってこなくても目をつぶるというのは、むしろ根を腐らせることになります。大切なのはその子が頑張って努力し、大人がよく理解したうえで評価し、どのようにしたら宿題をやり遂げられるかを一緒に考えていくことです。
そのゴールは、小2であれば「親が手伝って、本人が書く部分を減らす」でもよいでしょうし、小5では「大きなマスのノートに変更し、そのかわり丁寧に書く」というやり方もできるでしょう。方法は、子どもとのやり取りの中で工夫していけばよいのです。
揺らいではいけない重要な点は、大人の提供する支援で「子どもが努力し成長する可能性の芽を摘まないこと」、そして「学年が上がるに連れてステップアップするという見通しを持っておくこと」です。
大人同志が互いに協力し、今子どもが置かれている環境がその子にとって適切なものであるかを検討し、柔軟に対応することが環境を調整することなのです。