女性臨床心理士が主宰する岐阜市のカウンセリングルームです。職場ストレス・子育て・不登校・発達障害など、心の問題や悩みにお応えします。

コラム

グレーゾーンの子どもたち

2012-12-09

当室の考え方

発達の凸凹(得意と不得意)があっても、みんなが「発達障害」と診断されるわけではありません。(M記)

グレーゾーンの子どもたち
発達障害と呼ばれるのは、診断基準に照らし合わせて、その特徴がそろっている場合です。診断基準を満たさないからといって、発達の凸凹がないわけではありません。近年では、特徴の強い状態から弱い状態まで続く連続体(スペクトラム)として、発達の凸凹を捉えるようになりました。それによって、日常生活に支障をきたすほどではないけれど、個々の内面では困り感を抱えている「グレーゾーン」の子どもがたくさんいることが知られるようになりました。
困っていることを理解されにくい

グレーゾーンの子どもたちは困り感を周りに理解されにくく、支援環境が整いづらい状況に置かれます。例えば、字を視覚的に取り入れて覚えることが得意な子どもにとって、視覚的に覚える・理解する力が飛びぬけて高いために、書くことがもどかしく面倒な作業に感じられます。すると、知的な問題がなくても宿題をやり切れない状態に陥りますが、周りからはその子の内なる困りが見えず、「怠けている」と誤解されることもあるでしょう。
子どもの内なる困りが見えないことにより、大人からの叱責や子供同士のいじめを招くということはよくあるパターンです。
二次障害に陥る

そのような理解されなさが積み重なると、子どもの自己評価は低くなり、不登校や非行などの状態(二次障害)へと発展します。あるいは、こうした悪循環が家庭の中で生じると、躾けがエスカレートして虐待へとつながることもあります。 子どもの持つ発達の凸凹(脳の機能上の特異性が原因となる行動特徴=一次障害)によって、二次障害(対人恐怖・強迫性障害・睡眠障害・自傷行為の悪化・暴力・非行・不登校など)が必ず引き起こされるわけではありません一次障害に対する適切な理解と対応がなされなかった場合に、子ども達は否定的な経験にさらされ、二次障害へと陥るのです。これは、診断のつく発達障害の子どもも、グレーゾーンの子どもも同じです。
特徴を理解するために

どのような特徴を持っているのか理解することが、最初の一歩です。特徴を知る方法には、病院や相談機関などで発達検査(WISC-Ⅳなど)を受ける方法があります。そうした検査結果と、保護者の方や本人の話を総合して、子どもを理解するためのお手伝いをすることが、臨床心理士の仕事だと考えています。